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02 02, 2011
1月29日、京都新聞のレビューです。これを読んで足を運んで頂いた方もいるようで、ありがたいかぎりです。展示は2月13日までになります。引き続きよろしくお願い致します。

「静謐な空間と時間の感覚」 安河内宏法(京都市美術館学芸員)

任田進一の作品には音がない。音楽作品ならまだしも、写真作品をこのように評することは奇異に思われるかもしれない。しかし任田の作品を見ていると、音がないという感覚をはっきりと覚える。なぜか。主たる理由は、色数が制限されていることにあるだろう。漆黒の暗闇の中に浮かぶ白い煙。白と黒によって秩序付けられたその作品は宇宙空間や深海といった静謐な空間を連想させる。と同時にこの静謐は、任田の作品が時間の感覚を与えてくれることによって強調されるだろう。
そもそも任田は水槽の中に水をはり、その中に生じさせた土煙を撮影している。水の中で勢いよく広がったであろうその土煙は、雲のような柔らかな質感を持っている。それは、中心へ向かって巻き込んでいるようにも、あるいは逆に外へ向かって広がろうとしているようにも見えるが、いずれにせよ人の手で作りだしたものとは思えない有機的な動き方をしている。
有機的な動き。先に任田の作品を時間の感覚を持っていると言ったのも、こうした理由による。土煙は動いている。連作のように展示会場に並べられた作品群を眺めていると、そうした感覚はいっそう強くなる。そして、作品に写し出される動きを強く感じれば感じるほど、逆説的に沈黙は強調される。土煙はまるでそれが生きているかのように動いている。ならば当然そこに音が鳴っているはずなのに、何も聞こえてこない。任田の写真の完全な沈黙は、そのようにして生まれている。
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2 Comments
By den02 05, 2011 - URLedit ]

denと申します。
こちらにお越しいただきありがとうございます。
先日拝見いたしました。拙いブログにアップ致しました。
またボランティアライターとして「京都であそぼうART」
http://www.kyotodeasobo.com/art/staffblog/2011/02/03184909/
にも投稿レポートとして同文が掲載されました。
任田さんのサイトもとても魅力的でした。
あの日の出前の光景は比類なく美しく素晴らしいものでした。
皆に言いふらしまわっております!

By 任田進一02 06, 2011 - URL [ edit ]

はじめまして。任田です。
楽しんで頂けたみたいで嬉しいです。
また、素晴らしいレビューをどうもありがとうございました。
作家にとって一番の励みになります。
これからもよろしくお願いします。

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