秘密基地

04 05, 2016
僕は神奈川県出身なのだが、小学生の頃は家の周りにいくらでも自然が残っていた。しかしそこも20年くらい前から開発が進み、山は削られ谷は埋められ新たに道路ができ、住宅地に生まれ変わり、公園、スーパー、コンビニ、病院、小学校までが登場し、当時の面影としては小さな神社が残るのみになった。僕自身も小学生まではその自然の中をわけもなくうろつき回っていたが、中学生になると近づかなくなった。とはいえ小学生時代にドラえもんに出てくるような裏山があったことには、なんとなく感謝している。友達とクワガタやザリガニを採りに行ったり、自転車で強引に走り回ったり(E.T.の影響でモトクロスが大流行した)木々の集積を秘密基地と称し、そこでたわいない話をしたり、30円のスナック菓子を分け合ってくつろいだりしていた。そのあたりの経験は幸せな記憶なのだろう、今でも消えない。
娘が児童館の春休み散歩企画で、かに山公園という場所にお弁当持参で出かけた。何やら面白かったらしく、色々話しを聞かせてくれた。そして秘密基地を作ってみんなで遊んだことが、どうやら刺激的だったようだ。女の子がそういうことで盛り上がるものなのか、という話は置いといて、こんなIT時代でも「秘密基地」という概念が残っていることに少し感動した。まあ、そういう場所が存在すれば子供は本能的に同じような遊びを作りだすのかもしれない。気になるから娘に秘密基地を見たいのだがいいか?と素直に訪ねたところ、メンバーに入れることはできないが、見せることは可能だという返事をもらい、先週その秘密基地へ行ってきた。正直面白かった。そこへ至る道筋といい秘密基地の規模レベルといい、僕の頃とそっくりだった。ああいう裏山の木々の間を抜けて登って行く感じが懐かしかった。子供にとっては調度周囲から隠れる感じで異空間に移動した気分なのだろう、秘密と称したくなる気持ちがよくわかった。こういう気楽な自然の触れ合いが消滅する傾向は今後も止まらないだろうが、子供達が勝手に秘密基地とするくらいの自然はいつまでも残りますようにと思い、娘の後を追いかけながら秘密基地を後にした。
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