過程や道筋

11 02, 2010
まわり道的な苦労は必要だが、迷うだけでは進んでいない。大抵の若者は、世の中が自分に注目しない理由がわからず悩み、苦悶しつつ行動を起こし社会との接点を探っていく。その過程は貴重なもので、まわり道ではなく人格形成の必須条件として意味を持つ。

「ノーツ オン フォトグラフィー」大和田良(リブロアルテ)
著者の写真を学ぶ道筋を時系列にトレースしていく文章に触れていると、イチから学んだ人間の強さが理解できる。しかも、~した。~へ行った。という著者の飄々と書かれた様々な行動は、そう簡単にできるものではない。そして、大学に入るまで写真のことなんか考えたこともなかった。というプライドのなさが、謙虚さや素直さに繋がっているのだろう。彼は「こんな写真は捨てちまえ」と言われ続け、写真コンペにも落選するが普通に受け止める。根拠のない自信に溢れる若者は多いが、著者の非凡な点は、自分の実力の的確な把握にあるようだ。20代というのはとかく背伸びするがゆえの浮ついた感じが拭えないものだが、実に地に足が着いており、だからこそ道を誤らなかったのかもしれない。
自分の学生時代を思い出すと、決して不真面目ではなかったとは思うが、ここまでどん欲ではなかった。そして、下手に技術を持って入学したがゆえの無駄なプライドが、自分の可能性を少なからず狭めたかもしれない。もっと謙虚に勉強すべきだったとか、もっと素直に話を聞くべきだったとか、もっと積極的に話しかけるべきだったと、過去の自分の不甲斐なさを感じるが、それらは間違いなく今から始めればよいことだ。迷うだけでは進んでいない。
どうしたら成功するかとかではなく、真摯に続けていくにはどうすればよいかに重点を置くべきなのだろう。結末はその人の死によって確実に訪れる。それまでの間、絶えず勉強し何を表現するのか、という状態を継続し実行することに意味がある。
著者の歩んでいる道筋は、多くの写真を勉強する人達の参考になると思う。これからのご活躍を願う。
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