ベイマックス

01 10, 2015
物議を醸し出している「ベイマックス」を観た。その論点は様々な方向に広がっている。海外版と日本版でのCMがあまりに違う(http://coresugo.com/beimax/)とか、つらい目にあった天才少年のその後があまりにも人生easyモードなのはいかがなものか、つまり好きなものを発明し制作し目的を達成しヒーローになるというだけの展開を子供に見せても、苦労嫌いで受け身のディズニーファンを増やすだけだ(http://movie.maeda-y.com/movie/01938.htm)とまで言われる一方、脚本家が大勢いることでのチーム主義がついに個人の天才作家(宮崎駿等)の想像力を越えてしまったため、日本のクリエイティブは死んだとまで言う絶賛系(http://anond.hatelabo.jp/20150104012559)もあったりする。全く別の話しになってしまっているが、あの鉄拳もオリジナルPVを作っていた(https://www.youtube.com/watch?v=Vd2EmUB3p5I)ただこういうPVを見ていると、それはそれで良く出来ており、これを否定するのも偏狭に思える。今の日本人は働くことに疲れたのか、こういう暖かい包容を必要としているのだろう。CMに関しては、アメコミ原作のヒーロー戦隊系の話しなのに、まるで号泣必至の感動癒し系に見せかけていることでの批難が集中しているようだが、僕が映画を見て思ったのは、内容はそのどちらでもあったし、どこを強調するかを明確にしただけのことで、宣伝側の意向は良く理解できた。少し前に見た「妖怪ウォッチ」に比べれば、CMも映画も段違いの完成度であると思う。正直、スクリーンに終始引き込まれ、この映画がずっと終わらなければいいのにとまで思った。善意の仲間に囲まれ、兄の分身に守られ、偏屈な天才少年が人生を勉強し直す過程を見ていると、横で娘がコーラを飲んでいる事も忘れ、恥ずかしながら泣いてしまったし、これを見て「見ない方が良かった」と感じる人はほとんどいないと思えた、そしてそれは見事なことだ。デザインを作る際困るのは、売れるように、ターゲットに好かれるようにというクライアントの強い思いの果てに要素が絞り切れずに有り余る内容を詰め込まねばならないパターンだが、それで上手くいく表現などないと思っていたけれど、この映画は、それに対する答えかもしれない。有り余る内容が詰め込まれつつも破綻がない。あの歌に乗せて5分弱でこの映画をほぼ完璧にまとめているものがあった。器用な人がいるものだ。
https://www.youtube.com/watch?v=fTLGTgoDLxs
baymax.jpg
画像:http://www.disney.co.jp/movie/baymax.html
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