リベンジ

01 07, 2015
冷たい風に耐えつつ、元旦にユニバーサルスタジオジャパン・リベンジを果たした。今回は前回の失敗を無駄にしないよう計画を練ると同時にお金を使うことにした。そしてお金の力はヤバい。一度その感覚を知ると、元に戻れない麻薬的快楽がそこにはあった。いわゆるエクスプレス・パスというのをネットで購入し、優先的にアトラクションに入ったのだが、こういう経験を子供にさせてしまっていいのかと思った。確かに寒かったのでありがたいのだが、周囲の方々はそれに耐えて何時間も待っているのだ。それを横目でみながらズンズン先に入るのだ、いいのだろうか。お金の力とは何なのか。

今までディズニーランドでも何でも、そういうテーマパーク的な場所では「待つ」ことが僕には普通だった。その行為を通して期待感なりが生まれ、めったに来られない貴重な場所に対するありがたさみたいなものも、その待ち時間を通して感じてきたように思う。べつに待つ行為が好きなわけではないが、2時間待てといわれれば素直に待っていた。そしてその間に一緒に来た人と話したり、周囲の会話を聞いたり、読書したり、次の行動を考えたりして、それなりに普段味わえない時間を過ごしていた。運営側もその待ち時間を退屈させないよう工夫を凝らすわけだ。しかし、今回はそういう待ち時間がほとんどなかった。だからかどうかわからないが、アトラクションでの体験に何かがいまひとつ足りないような気がした。毎日贅沢な食事をしていたら、高級食材への感動が薄れてしまって、その価値を見失ってしまうような感覚だろうか、もちろんそんな経験はないが。

何かを楽しむということは、その何かだけの力だけではなく、楽しむ側の心構えが重要になる。テーマパークではそれが待ち時間の内に醸成される、と考えることもできる。優先パスで次々とノルマのようにアトラクションを回る体験は、ヘリコプターで山頂を回る登山のようだった。なんというか、お金持ちの感覚がほんの少し垣間見れた気がした。もしかするとそれは、何かが壊れているあんまり楽しい世界ではないのかもしれない。
ただそのお陰で、前回は悔しくも入ることすら出来なかったハリーポッターの世界に足を踏み入れることが出来た。娘も飛び跳ねて喜んでいた。時間が夕方になり雪が降り始め、なんともムーディな中、ようやく直にホグワーツ城を見た時、僕も心が踊った。その城の中に目指す最後のアトラクションがあり、これも優先パスのお陰ですぐに乗れてしまったのだが、城の中はハリーの世界が見事に作り込まれていて、ここはゆっくり待ち時間を利用して見るべき価値がある場所のように思えた。のんびり眺めながら抜かされつつ歩いても問題ないのに、なぜか素通り状態で進んでしまった、もったいなかった。もちろん「ハリー・ポッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニー」は、気持ち悪くなる程の浮遊感を味わえて凄かったけれど。

今回はお金の力で時間を買ったのだろう。そしてその分、何かが体験できなかったのだ。同じものを見てもそれが全く違うものに見えてしまうことがある。世界は速度優先社会にどんどん変わってきている。その分失われている何かがあることを思う。優先パスの購入という技を、次回以降僕は封印できるだろうか。
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