Silver clouds

12 04, 2014
事情があって毎朝キッチリ同じ時間の電車に乗っている。実は今までそこまで厳密な生活ではなかった。であるから、だいたい同じ時間に起床し食事し外に出て、同じ道を通り同じ時間の風景を目にし続けている。そうしていると、そのループからのズレが違和感に繋がる。同じ行動パターンを維持することに、小さな達成感を得るようになる。何も生み出していないし多少ズレたところで問題もないが、1秒も狂わない時計の美学ではないけれど、ペースをキープすることの良さを思いつつ、同時にその怖さも感じる。なんだか何も考えなくなるのだ。時間通りに周囲が推移していくこと、そこに自分がはまっていることに安心感を覚えるようになる。細かな変化に気が向かなくなり、逆に変化のなさを確かめるような感じ。そうしていると今度は驚くことに、そこで生まれる細かな差異を消そうという意識が出て来て、同じ車両の同じ席を目指すとか、5時50分ピッタリに炊飯器のスイッチを押す等々、妙な行動が定着し始める。僕はそれなりにズボラな人間なので、そういう決め事からはなるべく距離をとっていたが、この変化は何なのか。振り子の揺れ幅が徐々に狭まり、その揺れがなくなっていくことで生まれる安定と緊張が、妙な安らぎに通じていたのかもしれない。しかし、これでは自分自身が固まってしまう。臨機応変からは遠く離れ、神経質で頑固になるだけに思える。
考えたくないという意識があるのかもしれない。問題数を減らすことで周囲がクリアーに見えるのだろう。しかしこれこそは幻影で、そこに在るものを見ないようにしているだけだ。現実はそんなにスッキリしておらず、細かな変化に溢れ、同じでもそれは決して同じではない。
ただどういうわけか今は、視野を広げ変化を探し出し行動力にものを言わせる進撃態勢に魅力を感じない。逆に、無意識を尖らせ揺れ幅を減らし静寂を保つ態勢に惹かれている。そういう時期か、と言えばそれまでなのだが、特にここ何年も感じなかった感覚に取り巻かれている。そんな中、新しい試作が出来た。写真から離れ、ひたすら手作業と無意識を意識した結果、それはこういうことになった。
SC1204.jpg
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任田進一

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