08 22, 2012
漆黒の闇のような黒を目指しているのだが、光を当てると黒でもなんとなくの「グレー」になってしまう。そこをライティングでカバーしようと画策するのだが、ある1点はどうしても「グレー」が生まれてしまう。マットブラックというのが濃いグレーであることも今回思い知った。結局表面は必ずどこかで光を反射してしまう。闇は光を反射しない影でしか作れないのかと気づいた時に、カプーアの作品を思い出した。
file.jpg
http://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=30&d=5
さすがカプーア。
しかし今回は闇の黒を背景に、光景としての色を見せなければならない。
色ではなく物として見せるのでれば、黒をもっと均一に物質的にしなければいけない。別に今作っている「それ」も手の痕跡は消しているつもりなのだが、まだまだ足りないのだろう。もっと硬質な無表情な黒にすれば、闇ではないにしろ色を邪魔する黒ではなくなるのかもしれない。ただそれはやってみないとわからない。

何かがひっかかり作業が進まなくなって、その理由が見えない中、何が問題なのか最近ずっと考えていたのだが、それは黒の捉え方の甘さだった。ということにして、黒と徹底的に向かい合うことにした。要素のひとつを直せば次の問題が見えることもある。
制作期間が1年以上あると実に色々考えてしまう。これが余計なことなのか、重要なことなのか、判断できる状態ではないが、時間があるからこそ悩める贅沢な時間ではあるのだろう。追われるのではなく自分を追い込んでいくことで、今まで考えなかったお題にぶつかる。スケッチや画面からは絶対に見えない、肉眼だからこそ見えるその問題を、なんとか解決したい。それは本来のコンセプトからすると、大した事ではなかったはずなのだが、どうやらそこを決めない限り、次ぎに進めなくなくなってしまった。こんなところで足止めを食らうとは思わなかった。
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