娘が大切か、地球の未来が大切か

04 24, 2012
ある日、プリンのことで喧嘩したしんのすけとひまわり。そこに「ひまわり姫をお預かりします」と謎の男達が現れた。ラッキーとばかりに渡された紙にサインするしんのすけ。次の瞬間上空に現れたUFOに野原一家は吸い込まれてしまう。
到着したのは「ヒマワリ星」という見知らぬ星であった。星の王ゴロネスキーが叫ぶ「ひまわり様がいなければ、地球もヒマワリ星も消滅してしまうのだ」と。
急激な展開に呆然とするひろしとみさえだが、しんのすけがサインしたのは、全てを了解するという「宇宙契約書」だった ― 。

以前、子供に見せたくないアニメの代名詞だったクレヨンしんちゃんは、今や大人が感動できる定番ファミリー映画にまで登りつめてしまった。しんのすけのしゃべり方が苛立たしいと感じていた人も、正直慣れてしまったのではなかろうか。もう真似をする子供も少なそうだ。

「映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス」を、しんのすけと同い年である娘と観た。家族みんなでひまわりちゃんを取り戻すべく頑張るという話であった。よく、クレヨンしんちゃんの映画は号泣必死と聞いていたので、僕もそうなるのかと構えていたが、そうでもなかった。逆に、劇中で交わされる会話の哲学性に引きつけられた。
「娘が大切か、地球の未来が大切か」と、しんのすけの両親は問われる。両親は答える。「1年先もよくわからないのに、地球の未来なんて私達に分かるわけがない」「ひまわりは私達と一緒でなければならない」等々である。色々と置き換えが可能な問答だし、同じ状況に置かれれば、同意見が多そうだ。誰だって、みんなの将来は大切だが、我が子を犠牲にすることは避けたいはずだ。そこに綺麗ごとは必要ない。

クレヨンしんちゃんをよく知っているわけではないが、あの面白さというのは子供の小生意気な部分やブラックな感覚を面白がるのかと思っていたが、そういう毒的要素はほとんどなく、しかも悪人が出てこない話だった。皆それぞれの役目を遂行すべく行動する、真面目な人ばかりであった。ふざけているのはしんのすけぐらいで、とはいえ彼も妹を取り戻すべく必死ではあった。と考えると、過剰なアレンジ描写で笑ってしまう場面が多かったが、基本的には非常に真っ当な話であった。
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画像:http://shinchan-movie.com/
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