ケルヴィン=ヘルムホルツ不安定性

12 21, 2011
こんなことをやっているのは自分だけだろうなと思っていたが、実はもっと科学的に数学的にその動きを解明しようとしていた人達がたくさんいて、驚き励ませれつつも、自分の井の中の蛙ぶりを知るのであった。

「流れ」フィリップ・ホール(早川書房)
ダ・ ビンチのスケッチに、水流を描いたものがいくつかある。それは水の動きの共通性と複雑性を同時に捉えようとした、苦労が滲む興味深いもので、色んなところで目にする。動的平衡2でも最初にとりあげられていた。本書にもいきなり冒頭で登場する。いったいいつまでダ・ビンチは人間を翻弄し続けるのだろうか。
流体力学に詳しいわけではないが、僕は水流をベースにした作品を創っており、そこでどうしても捉えたいシーンがいくつかあった。その動きを再現すべく苦闘していたのだが、もう名前まで付いていた。どうやら「ケルヴィン=ヘルムホルツ不安定性」という剪断流動現象だったようだ。19世紀の物理学者ケルヴィンさんとヘルマンさんが研究していた。ただ、その生成過程がわかったところで、再現できるわけではないし、そのまま作品になるわけでもない。ただ、その原理らしきものを教えてもらえるのはありがたい。

まだ本書を読み始めたばかりなのだが「そうだったのか」という思いの連続で、嬉しいやら悲しいやら複雑な思いが交錯してしまい収集がつかない。無知の恐ろしさを思う。
同じシリーズで既に「かたち」という、自然現象が作り出す模様やパターンの数理を紹介する本があり、それにも驚いた。エルンスト・ヘッケルが描いた海洋生物のスケッチは、僕にとって完全にアートそのものだった。自然を描写しようとしている方は、一度見た方がいい。その観察眼と観念形態が融合した得体の知れないクラゲのスケッチは、研究資料というより、純度の高い「作品」という名がふさわしいように思う。

科学や数学に興味はあったものの、義務教育以上のレベルになると、僕にはそれを理解する能力がなく、美術の道に踏み込んだのだが、いまこの歳になって、もし当時にその力があったら、何が出来ていただろうか。意外にジャンルは違えど、同じような現象に目を奪われていたかもしれない。アートはそういう意味で非常に可能性が広い。

最近知りたいことは、科学や物理学の中に潜むのかと思い、専門書を立ち読んでみるのだが、残念ながら、これは日本語なのか?と思うほどチンプンカンプンなのであった。
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