地元意識

11 20, 2011
僕は小学校2年から大学に入るまでの12年間を横須賀で過ごした。ここが地元ということになるのだろうけれど、自分の街という感覚がない。そこは個性に欠ける場所でもなく、それなりに面白い地域だったのかもしれないが、帰郷心理も特にはない、もちろん自分がその土地に縛り付けられている感覚もない。

「ザ・タウン」ベン・アフレック(2010年アメリカ)
なんとかこの街を抜け出し、新しい生活を始めたいと願う若者の話。ただ彼は、地元密着タイプの仲間と銀行強盗を生業としている。別にそういう仕事でも出て行く分には可能なのではと思うが、そうもいかないようだ。恩がある仲間や、ネタを提供する黒幕がそれを許さない。お前は父親の代から生粋の銀行強盗なのだから、ということらしい。確かに伝統芸能のように仕込まれた、その強奪テクニックは見事極まりなく、そうやるとFBIは混乱するのかという必要ない知識を頂けて、正直感心してしまった。
どういう技を父から受け継いだのかという描写はないが、親からの教えというものは、子にとっては善悪の何かではなく、無条件に聞き入れる特別なもので、その後の生き様を左右する要素だろう。主人公は頭もキレるし酒をやめるといった自制心もあり、親と環境が違えば、もう少しマトモな人生を歩めたかもしれない。ただ、人間はそれぞれその場所で力を出して生きねばならない。主人公が黒幕との最終対決で見せる行為は、やはりその筋の思考を象徴しているように思えた。

環境がどれだけ人を縛るものなのか分からないが、仲間がどういう人なのかは重要だろう。クリスチャン・ボルタンスキーが、「どうすればあなたのようなアーティストになれるのか?」という質問に、「どういう作品を作るか以前に、どういう友達がいるのかが重要だ」と応えていたのを思い出す。どこで生きるにしろ、大切にしたい関係を作り続ける努力が必要なのだろう。別に出身地が地元ということにしなくてもいのだ。

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