11 17, 2011
ジェダイ・マスターとパダワンの関係には、様々な確執があるのだろうが、その1対1という師弟関係の在り方は、特殊な技術を受け継ぐ間柄として、とても正しいと思える。 平均的なマニュアルで仕事をシステム化し、機械的に仕事を繋げるやり方には限界がある。

作品の仕上げをお願いしている外注さんに、対応が迅速で細かな融通がききコストを親身に心配してくれる匠のような人がいて、大きな信頼をよせていたのだが、ついに定年を迎えられた。匠は姿を消したけれど、同じ会社に発注するわけだから、完成度に差はなかろうと予想したが、残念ながらその差は歴然としており、今後の発注を考えねばならなかった。ただ、やり直せば大丈夫だし、なによりコストの問題が大きかったので、結局今回もお願いして、先日そのチェックに行った。すると、あの定年退職したはずの匠が大声で仕事をしている。「ああどうも。また頼まれて復帰したんですよ」という。色々問題があったのだろう。そして、この人でなければいけないという仕事が、やはりあるのだなあ思った。いかにも今風の若い社員が丁寧に対応してくれ、作品の仕上げをみせてくれた。問題のない完成作品になっていた。

匠はこれからその若い社員に、仕事を教えていくのだという。そして覚えてもらったら、私は用無しでしょうね、ははは。と笑っていた。匠の復帰がいつだったのか聞き忘れたが、僕がいるその間にも次々と仕事が来ており、繁盛していることが伺えた。
匠は僕の仕上げオーダーを記憶しており、僕が2回目に顔を出した時、既に名前も覚えていてくれ、フレンドリーに接してくれた。接客業のプロはそうなのかもしれないが、有名作家の出入りが多いであろうなか、僕のような無名作家を同等に扱ってくれるのは嬉しかった。これから、あの若者が師匠の教えを体現していくのだろう。結局、人と人の繋がりが強固な信頼関係を作るようだ。その道では知られたあの会社のブランド力は、匠を復帰させたことで、再び活性化されるのだろう。

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