武装

11 06, 2011
立川のシネマシティ/CINEMAへ、娘と「映画スイートプリキュア♪とりもどせ!心がつなぐ奇跡のメロディ♪」を観に行った。タイトルは長いが上映時間は70分と短い。似たような境遇の父達がたくさんいた。するとこの映画を観ている約半数がオヤジ達なのだと思う。保育園的ノリで「お疲れさま」とか挨拶してしまいそうだ。館内は満員で、少女達は入り口で配布される紙キャップと、プリキュアがピンチになるとそれを点けて応援するというペンライトみたいなものを握りしめ、気合い充分という感じで何も写されていないスクリーンを睨んでいた。プリキュアのキャラが「映画を観る時はマナーを守ってね」とかいう台詞に「はーい!」とか応える彼女達を見ていると、その素直さをいつまでも保ち続けて欲しいと思う。これは僕に限らず、そこにいた多くの父達も同感だったはずだ。

女子の世界がどういうものなのか、この映画を観ると少しづつだが理解できる。例えば化粧とかオシャレという行為は「武装」とイコールなのだろう。プリキュアが変身する時に、攻撃や防御とは関係ない髪型や衣装やアクセサリーが過剰に美化されるが、それらに潜む機能は女子のみが知る何かなのだ。あえて言えばモチベーションが上がるとかだろうか。あとは笑顔が最高の武器なのだろう、これから戦いに挑むというのに、うれしそうな顔だった。また舞台設定とか背景にも意味を求めてはいけない。変身シーンのバックは完全に抽象画で、いかに女子がイメージの世界で生きているのかを象徴しており、そこにあるのは色彩の乱舞だけであった。また、アニメと実写という差を考慮しても、プリキュアの破壊力は仮面ライダーを遥かに凌いでいると思われ、街ひとつくらい消滅させることなど、彼女達にとっては容易なことだ。逆に女子を怒らせた代償として、街ひとつくらいの犠牲は仕方ないということか。また戦闘シーンでもイメージの世界が炸裂している。プリキュアが技を出すたび、背景は抽象画に置き換わり、そのパワーも色彩光線に変換され、相手の光線と衝突しているだけで、何が行われているのか全く分からない、何か凄いことが起こっているという印象だけが残る。しかしそれでいいのだろう。娘は、先ほどもらったペンライトを光らせ振り回していた。制作者の意図は完璧に伝わっている。
こういうタイプの映画で、主人公が負けて終わることはありえない、と大人達は皆思う。しかし子供はそうではない。そこにプリキュアが傷つき倒れて動けなくなっていると、本当に蒼白の表情をしており、どうしたらいいのかと心配している。それは館内の空気が凍り付くことでよく伝わる。大人達もその素直さに凍り付く。もちろんメインのプリキュアがさらなる過剰な衣装で覚醒し、メンバー全員が力を合わせて必殺技を繰り出す。背景は抽象画に、技は光に変換され、巨悪は消滅する。さっきまであんなにボロボロだった肌も衣装もすっかり綺麗になり「フィナーレ!」というプリキュアの勝利宣言が笑顔で発せられ、戦いは終わる。
お約束の世界だ。しかし結構見入ってしまった。頑張ることへの肯定感にブレがない。問題への真っ向勝負は、多くの大人が避けていることだ。そしてそういう意味では、とても真面目な映画なのだった。
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2 Comments
By lilliput+village11 08, 2011 - URL [ edit ]

こんにちは。とても面白く読ませていただきました。
女子のおしゃれは武装というのは、共感しました。
仕事や街、ましてや仲のいい友達に会いに行く時も、現実から少し特別なイベントとして考え、気合を入れて「変身」したいんです。(笑)
おしゃれは「コスプレ」と主人ともよく話しています。

そういえば、戦闘ものが子供たちにうけるのは、ヒーローが強いだけではなく
弱い部分を見せたときに、自分と投影させ「がんばれ~」と応援し、ヒーローと一体化
できるので、流行るというのをどこかで聞きました。

どちらにしても、親としてはいろんなヒーロー人形がまた家に来るのかと、
ひやひやです。(^_^;)

By 11 08, 2011 - URL [ edit ]

こんにちは。コメントありがとうございます。
なるほど。確かに一体化はうれしいのでしょうね。
先日、保育園へ持って行くエプロンと三角巾とマスクを
全てプリキュアで決めた娘は大満足だったようです。

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