価格

11 03, 2011
金額で作品にフィルターをかけるのはよろしくないことは分かっているが、カラフルな掛け軸は870万円で、擬声語を繋げた巻物は1000万を越えていた。ベネチアで金獅子賞を取るとそういうものなのだろうか。ヨコハマで観た「The Clock」があまりに素晴らしく期待していたのだが、記憶に残ったのは作品より価格だった。

「Scrolls」クリスチャン・マークレー(ギャラリー小柳)
コラージュ作品である。色や音や場面を切り取り、ひとつの形に再構成している。しかし、平面作品にしろ映像作品にしろ貼り合わせている境界が、きっちりと分断されているので、コラージュであることが見え過ぎてしまう印象を受けた。もちろんそう意図されたことなのかもしれないが、それほど面と面が共鳴しているとも思えなかった。
「The Clock」の魅力的なところは、シーンとシーンの繋ぎ目の絶妙さだった。例えば、場面が切り替わっても音楽は切られていなかったりして、コラージュが重層的な構造を持っていた。また時計がどこかに在ることで、こま切れな映像に意味的な繋がりが見えた。僕の勝手なイメージだが、世界の各地で皆がそれぞれ生きているという事実を、地球全体で俯瞰するような超平均的視点を体感できた。コラージュでこそ生まれる新たな繋がりを知った。しかし、今回の展示では「The Clock」の繋がり感はない。繋がりはその支持体が同じである、というだけに過ぎない。

「時」の人である展示なだけに観者がそこそこいたが、皆、微妙な顔つきであった。たぶん「The Clock」の感動をもう一度と思っていたのではなかろうか。
関係ないが、このギャラリーは作品が売れない場合、ギャラリーが作品を全て買い上げるというオーナーのインタビュー記事をどこかで読んだ。提示されている価格の何%でそうするのかは知らないが、単純にその額を足し算するだけでも6000万円以上はあった。オークションなどで非現実的に値がつり上がっていくことはあるが、これはそういう場ではない。凄い世界だ。本当はこんなことを書くつもりはなかったのだけれど、芳名帳にサインした横に価格表があって、思わずその金額に目を奪われてしまい、無視できなくなった。
そして思う、あの「The Clock」はいかほどだったのかと。。
関連記事
0 CommentsPosted in 展示

Previous: line

Next: 飛行場
0 Comments
Leave a comment
管理者にだけ表示を許可する
0 Trackbacks
Top
プロフィール

任田進一

Author:任田進一
http://www.shinichitoda.com

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ