ピント合わせ

08 31, 2011
自分が近視のためだと思うが、シャッターを切る際にピントがキッチリ合う瞬間が素直な喜びだったりする。それはおぼろげであったモノが、明確な正体を表すことであり、対象への正確なアプローチであると思うふしがあったのだが、もちろんそれは偏った考え方であり、対象への接近方法は様々だ。

石川文子「僕には光が見えはじめている」neutron tokyo 3f mini gallery
初めて石川氏の作品を観た。ほとんどの作品が、ソフトフォーカスのような印象で、トーンも対象物によって左右されるのではなくほぼ統一されていた。写されているモノは、特別な何かではなく、日常的な生活周辺にあるものと言えそうだ。しばらく見ているうちに、写そうとしているモノが、その対象物だけではないように思えてきた。そのもうひとつは、つまり「光」なのだろう。
今更だが発見と思えたのは、対象がボケるほどその輪郭は失われるが、代わりに発光体としての存在を主張し始めることだ。石川氏の作品群が、それほど明るいトーンではないのに、光に満ちている印象を受けるのは、そのためと私は推察した。対象が何かを知らせつつ、それが孕む光の量を最もバランスよく伝えるギリギリのピント合わせが、そこにはあるのだろう。ギャラリーオーナーである石橋さんのコメントにある「光を溜める」という言葉もこれと同義ではなかろうか。
展覧会タイトルにもある通り、作者には光が見えはじめているのだろう。しかしそれは通常の反射光ではなく、対象物そのものに宿る光に思われた。感度の高い眼を持っておられるのだろう。凄い武器だと思うし何より羨ましい。9月18日まで。
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