SF

08 27, 2011
初めてトーマス・ルフの「stars」というシリーズ作品を知った時のことを思い出した。NASAが撮影したフィルムを買い取りプリントした、というその作品に写る星の数はもの凄く、画面全体が白くなる程に光りまくっており、瞠目するしかなかった。宇宙空間は真空なため、光の透明度がまるで違うのだろう。

「星を継ぐもの」J.P.ホーガン(創元SF文庫)
眼科で待たされている時に読んだ漫画が、恐竜がなぜあのような重たい身体を地球上で維持できたのかを考察した内容で、その仮説がかなり面白かったので、調べたところ原作があることを知った。有名な話らしく確かに面白かった。
SFは久しぶりで、もっと荒唐無稽な話なのかと思っていたが、もろに理系的な裏付けが随所に入る誠実な展開なので、僕などは、ほとんど現実の話として読んでいた。そしてそこで明かされていく人類の起源に言及する箇所に触れた時、素直にそうだったのかとか思ったのだが、それは残念ながら空想の世界なのだった。

人類(ホモ・サピエンス)とネアンデルタール人の間には、決定的な断裂があるらしく、私達の祖先は彼らではないらしい。では私達はどこから来たのか、という問題に夢を持って応えたのが本書で、SFながらその説得力は大きく、夢中になれた。以下そのさわりを抜粋。

人間が地球上の他の動物となぜこうも違うのか。(中略)たいていの動物は、絶望的状況に追い込まれるとあっさり運命に身を任せて、惨めな滅亡の道を辿る。ところが、人間は決して後へ退くことを知らないのだね。人間はありったけの力をふり絞って、地球上のいかなる動物も真似することのできない粘り強い抵抗を示す。生命に脅威を与えるものに対しては敢然と戦う。かつて地球上に人間ほど攻撃的な性質を帯びた動物がいただろうか。この攻撃性ゆえに、人間は自分たち以前のすべてを駆逐して、万物の霊長になったのだ。(以下略)

物語の中では、うまい具合に話は終わる。しかし傲慢な現代人は、本書に登場するあるキャラクターと同じ末路にあるのかもしれず、面白いと言っている場合ではないのかもしれない。
タイトルがいい。
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