TV

02 07, 2010
テレビをほとんど見ないという状況が3年くらい続いている。理由は単純に時間がないからだ。しかし特に不自由するわけでもないし、情報はネットや新聞である程度カバーできるしと思っている内に、本当に見なくなってしまった。今までドラマなど見ないわけでもなかったのだが、ここ最近どのような話がその場で語られているのか全くわからなくなった。しかし焦燥感はなく、だいたい過去を焼き直して同じようなストーリーが繰り返されているのだろうと勝手に解釈していた。

「ゼロ年代の想像力」宇野常寛(早川書房)
90年代からゼロ年代の間に作られた様々なドラマ、小説、漫画などサブカルチャーを通して時代の空気がどのように変遷したかを観る内容なのだが。これを読むと焼き直しドラマばかりではなく、その風潮を的確に反映しつつ時の問題にどう解答するかを、暗示させる内容のものが色々あったことを教えられ、テレビを見ないことでの後悔を久しぶりに味わった。
つまり90年代から02年くらいの変化を切っていく内容は、取り上げられる作品を知っていたので、漠然としていた記憶にぐいぐい輪郭を付け、時代を定義してくれることが気持ちよかったのだが、いかんせん未読の小説評論を読んでも咀嚼感がないように、後半はいきなり答えを教えられ、腑に落ちないまま放置されるような感じだったので、できれば実感として読める状態でありたかった。結末の共感がぼけるのはこのためだろう。

なにげなくテレビを見るという、一見無駄に思える体験をもっとやっておけばよかったと思う日が来るとは思わなかった。「なんとなく」続けている惰性の行動が意外な意味を持つこともあるらしい。
関連記事
0 CommentsPosted in 読書

Previous: 冬の青

Next: 手応え
0 Comments
Leave a comment
管理者にだけ表示を許可する
0 Trackbacks
Top
プロフィール

任田進一

Author:任田進一
http://www.shinichitoda.com

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ