むしろ正確な距離

07 01, 2018
水は先天的に動きとしての要素を孕んでいるのか、小さな水滴が写真の中にあるだけで、そのシーンがその時だけであったことを妙に強調してくる。水滴の中に一番明るい部分と一番暗い部分が凝縮され、見えないとしても、原理的には周囲の光景が映り込んでいることを考えると、水は環境をとりまく空気の結晶のように思えてくる。マクロレンズを通したファインダー越しに、見えなかった水滴を見つけると、ささやかな瞬間と接した気分になり、まあシャッターを切ってしまう。ピントも合わせやすかったりするのだ。「大切なのは絶対的瞬間ではなく、むしろ正確な距離である」という、ジャック・ランシエールの言葉があるが、正確な距離はとても難しい。逆説的になってしまうが、正確な距離を掴めたときこそが、ある種の絶対的瞬間なのではないかとすら思う。たとえ対峙していたとしても、お互いの距離が見えないのであれば、それはまだ単に向き合っているだけでしかない。そんな時に水滴があると、被写体との正確な距離がどこにあるのか、探りやすくなるように思う。
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