事実を知らずに都合よく捻じ曲げていること

04 11, 2019
証明写真というのは、どうしてああも酷い顔になってしまうのだろう。先日、社員証の更新で顔写真を撮ることになった。もちろん僕はいい年をしたおっさんなので、自分の顔に対して既に諦めているし大したこだわりもないため、何の抵抗もなく自動で撮影してくれる社内に設置されたボックスに入り、正面に写る自分の顔を見て椅子の高さ等を調節し、己の顔を機械に撮影してもらった。で「こんな感じで撮れましたよ、いいですか」という画像が出るのだが、これが本当に酷い顔であった。確かに素材に限界があるし、無理を言うつもりもないが、予想を遥かに下回る「萎びた小者」が呆然とした顔で写っており、数秒落ち込んでしまった。チャンスは2回となっており、正直自分に2回目など必要ないと思っていたが、2枚目を撮ることにした。今度は多少なりともまともな人間に見えるように、シャツのボタンを全て留め、胸を張り顎を引いて気合いを入れて、シャッターを切った。「はい、こんな感じです」と画像が映し出される。今度は「周囲に怯えた話にならない男」がそこにいた。全然駄目だと思った、これならまだ1枚目の方がマシに思える。そして「もう、どうでもいいや」と言う気分になった。自分の顔というのは自分で見えないため、知らぬうちに何かを修正してしまうのかもしれない。こんな中年真っ盛りのおっさんにも、そんな意識があったのかと思うと、事実を知らずに都合よく捻じ曲げていることが他にもあるのだろう、もう少し謙虚になるべきかもしれない、そんなことを思った。
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任田進一

Author:任田進一
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