手をかければかけるほど

11 27, 2018
事情があり木材に様々な塗料を塗っている。そんな単純作業が実に気持ち良い。塗れば塗るほど作業が進み、丁寧に重ね塗りすれば表面はより美しく仕上がる。手をかければかけるほど時間をかければかけるほど結果が充実する作業だ。おそらく多くの仕事において、作業量と結果は必ずしも比例しない。だからといって効率的な時短と結果の最大化を合わせて追求するのも如何なものか。このような分かりやすい着地点が約束されていると、実に心穏やかに作業が進められる。手間暇かけることの重要さを思い出す。良いものはそう簡単にはできない、そんな真っ当なことに気づく。
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時間概念が薄らぐ

11 02, 2018
被写体を見ながら、僕は「今この時」と一体化するためにファインダーを覗いているんじゃないか、と思える時がある。というのは、被写体と自分だけの関係のみに集中する時、日常や過去や未来という時間概念が薄らぐことに、ふと気づくからだ。撮影している時、僕は明らかに何も背負っておらず、対象と一体化した実にシンプルな状態になる。言わば撮影を続ける限り「今この時」は終わらずに、僕は過去にも未来にも属していない状態になる。思うに、それはとても伸びやかな時間だ。通常そういう感覚になることはあまりない。今という時間は、過去と未来に挟まれており、そのどちらかの影響を受けざるを得ない。家族の今後なり、仕事の予定なり、過去に自分自身が行ってきた結果から自分が解放されることはない。しかし、写真を撮る「今この時」に関しては、それが消えている。過去も未来もない今だけだ。そう考えてみると、没頭状態とは時間との乖離を意味するのだろうか。つまり「今この時」を味わっている状態イコール、未来の不安なり過去の縛りからの解放、となるのかもしれない。「今を生きる」この使い古されたワードの意味が朧に見えそうな気がしている。
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任田進一

Author:任田進一
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