blue moon

08 31, 2012
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ラフスケッチ

08 30, 2012
大学3年の春休みに、楽器メーカーであるYAMAHAの企業実習※というのに参加した。2週間浜松の社員寮にカンズメになり、出された課題を進めながら、夜はそこの若手社員の方々や参加者の同期達と飲んだり、徹夜しつつ課題に取り組んだりした。本書を読み、そこで一緒の部屋になった○○君(もう名は忘れた)のことを思い出した。彼はとにかくラフスケッチを描いていた。その数は膨大で、ひたすら手を動かし、そこで生まれてくるラインのカーブやフォルムに発想の原点を見出すのが彼のスタイルであった。夢の中でも描いていたようで「このカーブだ」とか寝言を発することもあり、何か思いつくとまず描かないといけないようで、 深夜にいきなり電気を光々とつけ、眩しがっている僕のことはそっちのけで、ラフスケッチを量産していた。少々うっとおしかった。どういう道具なのか、ではなくどういう形をしているのかが、彼にとっては重要だったようだ。確か僕はそういう彼のやり方と逆の発想で、形態はそっちのけでコンセプトをひたすらつめていったことを何となく思い出す。たいした作品にはならなかったけれど、寝食を共にして見ず知らずの同世代達と、課題制作に没頭した時間は貴重な経験だった。

「デザインの骨格」山中俊治(日経BP社)
著者は東大工学部を卒業し、日産自動車デザインセンターに勤務するが、毎日同じ社員バスに乗って通勤することと、社員食堂で大勢の社員達と同時に食事するのが耐えられず、5年で退社しフリーになる。そこからの飛躍は書くまでもない。本書はそんな著者のブログをまとまたもの。ブログの性質上あまり突っ込んだ話はないが、様々なエピソードのひとつひとつが、新鮮でありつつも重要なのでとても勉強になった。Macbookを分解し、その構造を調べることを普通の人はやらないが、この人はそれを実行する。そこでMacbookが、いかに常識を度外視した設計に満ちているかを教えてくれる。以下引用。
「実際に分解してみて、私はこのマシン内部のあまりの美しさに息をのみました。アルミボディの内面は工芸品のような形状と質感に仕上げられており、ツールマークが見事な紋様となっています。バッテリーはボディの内面に合わせて曲面に成形され、タップによるネジ穴も曲面に沿って斜めに切ってあるのです。無駄かどうかなどという次元ではなく、設計の常識から言うと信じられないような美意識が内部にも行き渡っていました。」
なんとも工学的視点でプロダクトの美しさを伝える感じが、抽象性に頼らない理数系の言葉で明確に語られており気持ちよい。そしてそんな著者が、日産にはいった新人デザイナー達と混ざる時に体験するエピソードも面白かった。また引用。
「日産自動車にデザイナーとして採用されて、入社後まもなく、新人の合同研修がありました。宿舎で当たり前のように車の絵を描きながら話をしている美大出身の同期たちを見て、本当に車のデザイナーになれるんだとわくわくしました。とくに私が目を見張ったのは「楕円」の描き方でした。(中略)普通は「丸」を描こうとすると、ある点から出発して、あたりを一周回ってきて出発点につなぎますが、これだとつなぎ目がいびつになります。デザイナーの描き方は違いました。 空中に少し浮かせた状態でペン先を一定のスピードで円運動させながら当たりを付け、軌道が安定してきたところで、ふわりと着地させます。そのままするする と一周以上、紙の上を走らせてから、すっと浮上させるのです。始まりも終わりもない悠久の円運動を作り、その一部を紙に定着させる。このテクニックは私が 最初に覚えたデザイナーの技になりました。今でもスケッチを描く前には、初心に返って、1枚の紙を楕円で埋めつくすことから始めます。」
同期の手の動きをここまで分析しつつ血肉にしていく姿勢には頭がさがる。たぶん美大出身者が多数の中で、東大とはいえ劣等感もあっただろうにと思う。しかし、著者はマンガをずっと描いていたようだ。学生の頃、漫画家になるかエンジニアになるかを迷っていたという話を読んだ時、この人の生き方がようやく理解できた。巻末にAXISで書き下ろした著者の漫画作品があるのだが、まあ上手なのであった。そこらの美大生など軽く凌駕する腕前だった。そのメカニックな視点といい考え方といい、ラフスケッチの描き方といい、漫画が著者にとって重要な起点となっていることがよくわかった。

手が生み出すラインの重要性を思う。もちろん理論がなければ進まないが「手作業」がなければ始まらない。最近はこの 「手作業」がどんどんなくなり機械化と効率化が重要視されるが、原点はここだよなあと素直に反省した。YAMAHAの実習で僕は、○○君のようにスケッチが描けず、別の方法を選んでしまったが、今なら彼のやり方が理解できる。「それって無駄じゃないの」と思ったことを正直に告白しておくが、それは間違いなく無駄ではなかったのだ。彼からは一度葉書が来た。「僕はHONDAに決まりました!任田君(僕の名)はどうですか?」というものだった。たぶん今、彼のラフスケッチから生まれた車やバイクが、路上をグイグイ走っているはずだ。
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http://lleedd.com/blog/2009/11/19/elipsoid/
※美術系大学から各1名づつ参加者を募るタイプで、たぶん10人程で進められた。
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駆け上る

08 28, 2012
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北海道でイサム・ノグチが作った山とご対面。
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いきなり真っ向勝負で駆け上がる。
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08 22, 2012
漆黒の闇のような黒を目指しているのだが、光を当てると黒でもなんとなくの「グレー」になってしまう。そこをライティングでカバーしようと画策するのだが、ある1点はどうしても「グレー」が生まれてしまう。マットブラックというのが濃いグレーであることも今回思い知った。結局表面は必ずどこかで光を反射してしまう。闇は光を反射しない影でしか作れないのかと気づいた時に、カプーアの作品を思い出した。
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http://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=30&d=5
さすがカプーア。
しかし今回は闇の黒を背景に、光景としての色を見せなければならない。
色ではなく物として見せるのでれば、黒をもっと均一に物質的にしなければいけない。別に今作っている「それ」も手の痕跡は消しているつもりなのだが、まだまだ足りないのだろう。もっと硬質な無表情な黒にすれば、闇ではないにしろ色を邪魔する黒ではなくなるのかもしれない。ただそれはやってみないとわからない。

何かがひっかかり作業が進まなくなって、その理由が見えない中、何が問題なのか最近ずっと考えていたのだが、それは黒の捉え方の甘さだった。ということにして、黒と徹底的に向かい合うことにした。要素のひとつを直せば次の問題が見えることもある。
制作期間が1年以上あると実に色々考えてしまう。これが余計なことなのか、重要なことなのか、判断できる状態ではないが、時間があるからこそ悩める贅沢な時間ではあるのだろう。追われるのではなく自分を追い込んでいくことで、今まで考えなかったお題にぶつかる。スケッチや画面からは絶対に見えない、肉眼だからこそ見えるその問題を、なんとか解決したい。それは本来のコンセプトからすると、大した事ではなかったはずなのだが、どうやらそこを決めない限り、次ぎに進めなくなくなってしまった。こんなところで足止めを食らうとは思わなかった。
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夏休み

08 21, 2012
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おばあちゃんの家でババ抜き。思いっきりババを引いてしまう。
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プロフィール

任田進一

Author:任田進一
http://www.shinichitoda.com

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