麻酔

08 01, 2012
麻酔は痛みや筋肉の緊張をとるものだが、それを過剰に使用すると感覚そのものが無くなってしまう。先日、親知らずを抜いた。そこの医者の腕は素晴らしくほとんど痛みがなかった。僕の親知らずは、歯茎の中に半分埋まっているという少々厄介なタイプで、以前出来ないと言われたこともあるのだが、今回その抜歯にかかった時間は30分程で、それは見事だしありがたいのだが、なにぶんそんなに打つものなのかという位に麻酔を口内に打たれたため、顔の右半分から下の感覚がほとんど無くなってしまった。そしてそれは完全に感覚がなくなるということではなくて、感覚が残っている左側との関連性は残っており、その違和感は相当なものだった。まるで右側だけ機械化されてしまったようで、頬に触れても人工皮膚(触ったことはないが)のようで、まるで自分の皮膚と思えない。昔、虫歯の治療で同じように麻酔を打たれたが、ここまで無感覚になった覚えはない。気分を変えるべく、音楽でも聞いて帰宅しようと思い、イヤホンを耳に突っ込むのだが、これまた右の耳が無くなったかのようで、まるで入っている感じがしない。ただ音は聞こえているので当たり前だが機能はしていたのだろう。あまり気持ちのいいものではなかった。
昔、銀河鉄道999で身体を機械化することで失われるものは何か、みたいな話があったが、その生身の体が失われるヤバさみたいなものをリアルに感じた。こうやって体の感覚が消えた部分が増えていくと、もしくは悪いところを機械化していくと、それは思考も変化し従来の自分ではなくなるだろうと思えた。正常であるがゆえに意識されない身体感覚が、局部麻酔された部分に近い無感覚になった皮膚を通して、やけに意識され、自分の感覚というものが、感情や思考だけではなく、自身の皮膚を通しての感じ方に、その多くを依存していることをあらためて実感した。かなり遠いと思うけれど、この皮膚感覚をほぼ失ったであろうダースベーダーの悲しみとか、勝手に想像してしまうのであった。
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任田進一

Author:任田進一
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